9. 「ベアテの贈り物」

岩波ホールで「ベアテの贈り物」を観てきました。ベアテ・シロタ・ゴードンさんが戦後の女性解放の根源となる憲法草案作成時に「男女平等」の文言を加えられたのは皆様ご存知のことでしょう。

1923年ウィーン生まれのベアテはリストの再来といわれたピアニストを父とし、両親とともに1929年に山田耕筰の招聘で来日したときは5歳でした。戦争直前の1939年にベアテは15歳で単身サンフランシスコのミルズカレッジに入学、卒業後はタイム誌で調査担当として勤務。戦後両親との再会のため、GHQ民生局の一員として来日。

22歳で日本国憲法の草案委員会の唯一の女性メンバー! 日本では考えられないことで全くの驚きですが、ベアテの草案になる第14条人権と第24条の男女平等が採択されたのです。男女の平等と女性の権利を盛り込んだ憲法は戦後の女性解放の源となりました。本当に素晴らしいことを成し遂げてくださったものですね。

私が生きてきたこの時代に女性の立場は職場でも家庭でも大きく変わりました。結婚=退職が少しずつ変わってきたものの、出産後も仕事をつづけるなどは言語道断といわれた頃です。私は最初から外資系の会社で、出産のときは一応退職しましたが(私自身の意思で)、よい時代にめぐり合わせて、出産後すぐから色々お声がかかり、半日の勤務からフルタイムに持って行くという便宜まで図っていただきました。2度目のときは丁度上役が帰国するので退職する予定でしたが、自宅で3・4ヶ月仕事をし、次の会社でスタートしました。有難いことだと思います。いまや外資系の会社では時々男性から「男性差別だ!」という声も聞かれるようにもなったのですから、世の中は変わったものです。若い方々には「昔」の話でしょう?

映画は女性解放のために情熱を傾けてこられた歴々の方々が出演される映像による日本戦後女性史です。ずっと仕事をしてきた私などがよく耳にしていた方々ばかりで大変身近に感じられました。石原一子さん(確か同窓生だったと思いますが)緒方貞子さんなどなど素晴らしい方々です。来週までくらいの上映ですので是非ご覧になってください。百聞は一見に如かずです!お急ぎください。